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8月の保育主題『反省』

8月の保育主題『反省』

「かえりみます」

私たちは、自分の顔が汚れていても、鏡を見なければそのことがわかりません。また、暗闇の中では自分の影は映りません。光が当たって、初めて自分の影が見えるようになります。つまり、鏡と光によって、私たちは自分の姿を知ることができているのです。

日常、私たちは注意をされても、自分の悪かったことや欠点を棚に上げて、他人を責めたりすることがしばしばあります。その一方、親切な忠告を受けてもなかなかその間違いを認めようとしなかったり、責任を誰かに転嫁したり、時には相手を恨んだりすることさえあります。

「他人の悪口は嘘でも面白く、自分の悪口は本当でも腹が立つ」という言葉があります。この言葉のように、他人のことであればそれが嘘であっても面白がるものですが、自分のこととなるとそれが事実であっても、自らを省みてその非を認めることはなかなか容易ではありません。

ところで、私たちは謝罪をする時には「済みません」という言葉を口にします。これは、相手にお詫びをしたから、いけないことが帳消しになって「済み」になるのではなく、言葉で謝っただけでは済みにならないから「済みません」と言っているのです。つまり「済みません」というのは、口先だけの謝罪ではなく、心から深く自らを省みて、今後自分の行為や行動に対してどこまでも責任を持って対処していくということを表す、自戒の言葉なのです。

このような意味で、真の意味での「反省」を子ども達に求めるのはなかなか難しいことです。けれども、まずは少なくとも日常生活の中で、自分が間違えた時には、「済みません」あるいは「ごめんなさい」という言葉を素直な態度で、そして心をこめて自然と言えるように習慣化していくことは可能かと思われます。 また、自分の間違いを認めることは容易なことではありませんが、相手の立場になって考えさせたりすることを通して、いつも自分だけが正しい訳ではないことも、少しずつ理解させるようにしていきたいものです。

やがて、子ども達が自分のすがたを映し出す鏡を心の中に持つことが出来て、真の意味での「反省」が出来るようになる時、そこには他人の過ちを「いいえ、何でもないよ」と許せる、寛容な心も同時に育っていることが期待されます。

子どもたち一人ひとりが、他人に迷惑をかけた時には、自然と「反省」の言葉を口に出来るようにしていきたいと思います。そして、間違えた時には、次から間違えないためにはどのようにすれば良いか、きちんと考えることが出来るように、日々の保育を進めていきたいと思います。